店舗デザインの効果や依頼先って?費用や歴史についても詳しく解説

この記事では店舗デザインの持つ効果や歴史について解説するとともに「デザインにはいくらかかるのか」などについても解説しています。

サービス業を出店する際には「どういったデザインのお店にするのか?」ということを必ず考えなければなりません。なぜなら、視覚に訴えるデザインのメリットは計り知れないからです。今回は店舗デザインについて詳しく知ってもらうため「歴史」「費用」「効果」といった観点から解説していきます。

店舗デザインとは

一般的に店舗デザインとは「店舗の内外装の設計」や「店舗のイメージづくり」などを指します。店舗デザインは「見栄えに気を使うもの」と思われがちですが、本来「お店の提供するサービス」や「雰囲気」といったコンセプトに合わせ作られるものです。

なぜなら、店舗デザインで次第で「客層」や「客単価」といった「誰にアピールするのか」が変わってくるからです。つまり「デザインと客単価」の間に壁ができてしまえばターゲットの支持は得られないわけです。そのため、客層とデザインを必ず合わせなければなりません。

店舗デザインの歴史

今でこそ「出店する前に、店舗デザインを考える」というのは当たり前になっていますが、実を言うとそんな流れが一般化してきたのはつい最近です。ここでは店舗デザインの歴史について少し解説していきます。

まず、19世紀のイギリスで起こった運動によって店舗デザインの原型が生まれました。この頃イギリスでは、産業革命が起こり機械化が進むことで、それまでの職人らによって紡がれてきた「技術」が失われてしまいました。

かつてデザインを生業としていた職人達は「プロレタリアート」と呼ばれ「生産手段を持っていないものの技術はある」という階級「無産階級」となりました。

この時代に、デザイナーでモダンデザインの父と呼ばれる「ウィリアム・モリス」が異を唱えたことをきっかけに店舗デザインの歴史は大きく動きます。

1880年ウィリアム・モリスは友人や知人とともに、日本語で美術工芸運動と呼ばれる「アーツ・アンド・クラフツ運動」を行いました。その結果、装飾品や内装をデザインする「店舗デザイン」の原型が生まれました。

その後の1919年には美術学校の「バウハウス」がドイツワイマール共和国に建設されました。バウハウスは「建築の最終的な教育」を目標として、美術と芸術を統合するという教育システムを確立した学校です。

バウハウスは無駄な装飾を廃止した「モダニズム」の源流となっており、現代の「モダンジャンルの基礎」を作り上げた教育機関です。モダンは現代においても幅広く普及しており、今でも標準的なデザインとして使用されています。

店舗デザインの効果

店舗デザインで得られる効果は「集客効果」です。例えば、ラーメン屋であれば「出している料理のジャンルが同じ」だった場合でも「店舗デザイン」で差別化を図ることができます。つまり「今まであった店とは別の店である」という目新しさなどで客引きも兼ねるわけです。

また、外装だけでなく内装にもポイントはあります。例えば「照明の明るさ」などによって、お店の回転率は変化することがわかっています。

具体的には
・照明を明るくするとお店の回転率は上がる
・照明を暗くするとお店の回転率は下がる
といった関係性が見られます。

つまり「照明」をお店のコンセプトに合わせ、上手く使い分ければ売り上げのコントロールも可能というわけです。

また、店舗デザインでは「お店のコンセプト」に合わせて「何色に統一するのか」といった点も重要です。一般的に飲食店では「温かさを感じさせる暖色」が好まれます。具体的には「赤色、オレンジ色、黄色」などといった色です。暖色には「料理を美味しく見せる効果」があり、食欲増進につながります。

逆に「冷たさを感じさせる寒色」は飲食店では避けましょう。具体的には「青、緑、青紫」などの色です。寒色には「食欲減退効果」があり、飲食店を出店する際はできるだけ避けた方が良いとされています。

また、色には他の使い道もあり、白色のようないわゆる「膨張色」を使うことで、空間を広く見せることもできます。逆に、黒色を使うと「重厚感のある空間」を作ることができます。

店舗デザインの依頼先

「店舗デザインの依頼」と言ってもいくつかの方法があります。まず、店舗デザインはデザイン設計だけでなく、その図面を元とした施工作業が必要です。そのため、基本的にデザイン会社だけでなく施工会社ともかかわる必要があるため、覚えておきましょう。

店舗デザインを依頼する方法には
・デザインと施工を同じ会社で行う方法
・設計事務所と施工会社を別々で依頼する方法
以上の2つが考えられます。

「デザインにとてもこだわっており、イメージ通りに仕上げてほしい」という場合には別々での依頼がおすすめです。しかし、それなりに時間がかかってしまう点には注意してください。また「すでにデザインは決まっている」という場合には「施工会社のみへの依頼」となるため、費用が安く抑えられますよ。

反対にデザインと施工を同じ会社で行うと、作業が円滑に進みやすく相談などもしやすいため、かなり楽に施工が完了します。お金と時間で考えれば「両方ともやってくれる会社」の方がお得かもしれません。

店舗デザインが完成するまでの流れ

店舗デザインが完成するまでには、多くのプロセスがあります。なぜなら「デザイナーとのイメージのすり合わせ」などに時間がかかるうえ「デザイン担当と施工担当が違う」といった背景もあるからです。

一般的に「店舗デザインが完成するまでにかかる期間」というのは約3ヶ月とされています。内訳は「場所選びに2週間」「デザイン設計に2週間」「施工に1ヶ月以上」といったものになります。

また、予算に余裕がある場合は「デザインコンペ」と呼ばれる「複数のデザイン会社へのデザイン作成依頼」もおすすめです。

店舗デザインにかかる費用

デザイン依頼を行う際には、まず予算を聞かれることが多いです。なぜなら、予算次第で「どこまでのデザインの実現が可能か」という線引きを行うからです。例えば、予算が300万円という場合、その予算に収まるよう工費などを考慮しデザイン案を考えます。

店舗デザインの相場は「一坪×5万円」であり
・20坪であれば100万円
・30坪なら150万円
となります。

ただし、これは1つの目安であり
・どの地域の店舗なのか
・どこの設計事務所に依頼するのか
などで、若干変動することもあるため注意してください。

また施工にかかる費用は
・居抜き物件である場合
・スケルトン物件である場合
などによって大きく変わります。

居抜き物件とは、前の所有者が残した空調などの設備を使える物件のことです。反対にスケルトン物件は「壁や床がコンクリートむき出し」となっており、まっさらの状態の物件です。そのため「電気の配線」「配管やガスの新設工事」などが必要となり、居抜き物件に比べ費用がかかる傾向にあります。

一般的にスケルトン物件の費用の相場は「1000万~2000万円前後」とされています。また、居抜き物件の場合でも費用は「200万~400万円前後」となるため注意してください。

まとめ

店舗デザインについてはお分かりいただけたでしょうか。店舗デザインは「おしゃれのため」ではなく、コンセプトや売り上げのために行うものです。この点をはき違えると「失敗するお店」ができあがってしまうため、注意してください。もし店舗デザインについてお悩みの方は「店舗内装工事見積比較.com」での相談がおすすめですよ。